持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想68 怪物はささやく

怪物はささやく(字幕版)

2016年。スペインアメリカ合作映画。暗そうで嫌だなーと思ってたけど覚悟して観始めたら最初から美しいし引き込まれる。墓地の近くに住む母子家庭の少年(当然いじめられっ子で空想癖がある)、母親は癌。そういう家庭の事情が説明台詞なしに映像でわかる。脚本上手い!

 

あらすじ

コナーは癌の母親と2人暮らし。母の治療はうまくいかず再度の入院、コナーは気の合わない祖母と暮らすことに。そこへ近所の墓地に立つ古い木の怪物が現れ三つの話をするから四つ目はコナーが話せという。夜毎怪物と話すコナー。一方母の病気は良くならず離婚した父もアメリカから戻ってくる。

 

感想

私っていつも映画を褒める時は「脚本がいい!」と言い、映画を貶す時は「脚本がクソ」っていうんですけどこれはいい方です。面白かった。後半30分の説教くささが鼻につく。でもいい話です。あらすじの段階ではさほど気持ちが浮き立たなかったんですけど一応見なければと思って見たらぐいぐい引き込まれましたね。登場人物の心の動きが全部丁寧。死と向き合う母親、認めまいとする少年、娘の死を感じつつ孫を育てようとする祖母。全員が丁寧に描かれていて「こんなことするか?」ってなる登場人物の動きは一切ないです。

私泣きました。母の死と向き合う子どもの話なのでまぁ泣きますよね。でも丁寧にその辺やってて良い。

美術的には怪物の造形がエント。怪物の物語のシーンは水彩画のタッチで、ポッターでDeathly Hallowsの三人兄弟の話のシーンとおんなじような感じ。ぽたりぽたりと水を多く含んだ絵の具が滲むような。美しいです怪物が語る物語も一つ一つ印象に残った。