持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想121 バーバラと心の巨人

バーバラと心の巨人(字幕版)

2017年の映画。現実と向き合うのが不得意な事情のある子がファンタジーを通して現実と向き合う力を手に入れるという映画。ファンタジーの効能の一つです。すごく良く似た映画に「怪物はささやく」があるんですが怪物の方が優れてますね、あらゆる点で。

 

あらすじ

うさ耳眼鏡のバーバラは巨人殺しの使命を帯びたと信じる変わり者。毎日巨人のために罠や薬を作っていた。姉が働き家事もし、家に両親の姿はない。転校生のソフィアとスクールカウンセラーのモルはバーバラに優しくしてくれるがどちらもバーバラに巨人はいない、現実と向き合えという。

 

感想

ファンタジーってその世界に行って戻ってくることで力を得て前に乗り越えられなかったことを何らかの形で乗り越えるっていう効能があるんです。そういう意味ではこれも行って帰ってくる話で、似たような作品は山ほどあるんですが、これはあんまりよくなかったなぁ。何が良くないってバーバラのキャラ。

辛い現実を乗り越えるための自分なりの方法で巨人殺しの儀式をやっていて、武器の名前がコヴレスキーっていうのもなるほどなぁって感じで納得です。ネタバレになりますが母親の気配がほとんどないのもバーバラが存在を意識しないようにしようとしていたから、と考えると納得ができる。でもバーバラがあまりにもあんまりなんですよね。辛いのはわかる。でもなぜすぐ人を殴ったり突き飛ばしたりするんだ。それがなければいいと思うんですけど、事情はわかるけどなぜ手を出す?ってなっちゃう。カレンお姉ちゃんめちゃくちゃがんばってるし可愛いしで1番好きキャラです。

美術もあんまり良くなかったかな。最後巨人と巨人と戦うための戦鎚が出てくるんですけど巨人のデザインはバーバラの心象風景を映して野球のユニフォームを着たマットレス見たいなデザインで、意図はわかるんですがあまりにも安直だしクライマックスなのに笑っちゃうんですよね。コヴレスキーのデザインはなんかSF寄りだし。巨人が出てくるファンタジー群の作品のはずなのになぜこのデザインにしたんだ。

いろんなものの製作側の意図はわかるんですよ、いろんなことの。でもちょっと一歩足りない感じがあります。クリーチャー造形然り、美術然り、人物の行動やセリフ然り。バーバラに全然魅力がないってわけじゃないんですけど。

それにしてもアメリカの映画に出てくるいじめっ子ってなんでめちゃくちゃ学年下の子を虐めるのかなぁ。かっこ悪くない?それともカッコ悪くても構わないって思ってるのかな?