持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想123 第九軍団のワシ

第九軍団のワシ(字幕版)

2012年イギリス・アメリカ。ローズマリー・サトクリフの同名の歴史冒険小説の映画なんですけど史実通りではない。ファンタジーとは言えないかもしれないんですけど、ファンタジー映画好きはまず好きだし魔法が出てこないだけでドルイドとか剣とか出てきます。歴史物って言い張るにはそんな史実はないってなるんですよね、これ。

 

あらすじ

マーカスの父は第九軍団の指揮官だったが5000人の兵士とローマの象徴黄金のワシを持ったままブリタニアハドリアヌスの長城の向こうで姿を消す。マーカスは黄金のワシを見つけることで家の名誉を取り戻そうとブリトン人の奴隷エスカと共にローマ人と分かれば殺される北方の地へ旅立つ。

 

感想

まず原作の設定が最高なんですよ。

ローマのゴリゴリの軍人マーカスと奴隷のブリトンエスカ。エスカの父と兄はローマ人に殺されていて母もローマ人に殺される前にとエスカの父が殺してるんですね。エスカの一族としては侵攻して来るローマ人を憎むのは当然です。

一方マーカスたちローマ人も侵攻の過程で仲間を殺されてるんでブリトン人を憎み、嫌い、蔑んでいる。しかし殺されそうだったエスカの命を救ったことからエスカはマーカスに忠誠を誓います。命の恩人だから最初は嫌々ですね。でもエスカはマーカスの世話をするうち、そしてマーカスに守られるうち、マーカスに対して庇護欲と尊敬みたいな、よく従者や召使いが主人に対して抱く愛を抱くようになります。ほら、LOTRのサムがフロドに対して抱いている愛です。この人の世話をしてあげなくちゃ、みたいな気持ち。おそばを離れません!みたいな。それが北方を旅するうちにさらに強まる。北方ではローマ人の立場が悪いので守り守られる関係は逆転します。ついには奴隷はマーカスの方になり主人はエスカになる。もう、、これ設定の勝利!面白くならないわけない。

さらに脚本の時間配分が良かったですね。さっとマーカスはじめての隊長着任から始まって、マーカスが若いながらも勇敢で部下思いで賢い指揮官であることを表します。そして剣闘士とエスカとの試合があって、マーカスがエスカと共に北方に旅立つのを決めた時点で開始40分なんですよ。映画の終わりまであと1時間残っています。 それから気候の良い南と違う冷たく暗い北方の厳しい旅を経て黄金のワシのヒントとか二人の関係性を描いてワシがある村に行きます。で、村で色々あって「さぁワシを盗むぞ!」ってなってからがクライマックスなわけですがこの時点で残りまだ40分あるわけです。時間配分が大胆だししっかりしてる。

説明台詞や無駄に長いシーンもなくエスカとマーカスの関係の変化と深化がよくわかります。そして静と動のクライマックスを交互に持って来るのもうまい!最後は明るく余韻を残して終わります。

マーカス役はチャニング・テイタムエスカはリトル・ダンサーでビリーをやっていたジェイミー・ベル。監督はケヴィン・マクドナルドですがこの人の他の作品見たことなかったな。 1回目見たときは敵役のメイクなんだよと思ったけど今見ると最後は戦化粧が落ちて、この人も人の子だったんだって思うところのためのメイクでしょうね。じんわりきた。その後の葬儀のシーンのマーカスの言葉にもマーカスとエスカの気持ちの変化がよく出ていました。良作。見て欲しいです。おすすめ。 戦争シーン好きには刃のついた戦車と亀甲陣形があるのでおすすめできます。かっこいい!