持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想138 天空の城ラピュタ

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1986年ジブリジェネリックジブリは見てるのにジブリの記録がないので。でもこうやって見直すと本当に無駄がない脚本ですね。特に冒頭。一切無駄な台詞なし。ジブリアニメって長くないので無駄なことやってる暇がそもそもないんですけどこの短いのもいい。

 

あらすじ

亡き父の志を継いで天空の国ラピュタを探す少年パズーの元に空からシータが降りてくる。シータはラピュタの王家の末裔で家に伝わる飛行石のペンダントを狙われ軍と海賊に追われていた。ムスカ大佐に飛行石を奪われたパズーとシータは海賊のドーラ一家に協力しラピュタを目指すことに。

 

感想

1986年か!って驚きますね。そしてオリジナル脚本なんですけど宮崎駿がファンタジーの好きな人なので、あ、これはあれかな、みたいなのを感じつつも宮崎駿のあの頃のメッセージ、自然との共存、過剰な文明の発展への危機意識みたいなものが嫌味なく込められていて非常によかった。

まずパズーがマクドナルドの「お姫さまとゴブリンの物語」のカーディをちょっと思わせる。炭鉱夫なんですよ。パズーは冒頭から非常にキャラがよく出ていましたね。シータを置いて親方を手伝わねばならない時にベストをかけてあげるところで優しさ、親方にエレベーターの操作を命じられて顔をパッと明るくするところ、2番のバルブ、と言われてさっと応じるところから彼が仕事を好きで熱心にやっていることがわかります。「僕、この仕事が大好きさ」とかセリフで言わなくたって行動でわかるんですよ。

シータはちょっとゲド戦記の影響を感じで、まず故郷の名前とか、高地の方に住んでたりとかね。シータが高地の農家の娘で働き者で賢い子だっていうのは、ドーラに飛行石の光が示す方向を伝えたときにもわかりますし、それ以前にもよく働くし体も丈夫でそういうのからも伝わります。

同様にムスカがどういうキャラなのかっていうのも行動からよくわかりますね。彼は頭が良くて目当ては金ではない、女の子に無闇には(最後の方では髪の毛引っ張ったりしてますけど)手を挙げない。そして彼は頭脳派であって体は使わない人なんですよね。ロボット兵が暴れて橋が崩れるシーンでも運動としては大したことはしていない。彼はあまり走ることもしません。そして木や虫を嫌がるっていう。非常にキャラクターがよくわかるし映画全体のテーマにおいて悪役らしい悪役です。

この映画ってテーマだけ言えばドーラ一家はいらないんですよね。ムスカがシータを攫い、パズーが助けに行く。究極シータとパズーとムスカがいればいい。でもドーラ一家がいることでめちゃくちゃに話が魅力的になってるんです。ドーラ一家の息子達と親方や町のみんなの喧嘩はいらないかもしれませんがパズーが明るくていい町のみんなに愛されて暮らしているということからパズーの健全性の描写にもなるし、ドーラ一家の魅力を描いてもいる。そして注意してみてると悪玉以外は人を殺さないんですよ。ドーラが爆弾を街中で爆発されてますが人が逃げた後で家も壊れてません。アニメだからこういう都合のいい爆弾もありますが、ああいう暮らしに余裕のなさそうな町で家壊しちゃうとドーラのことちょっとよく思えないのでこの描写嬉しかったな〜。

汽車での鬼ごっこや地下でポム爺さんのシーンもパズーのキャラ描写にもなりますし、ポム爺さんのシーンも飛行石の描写に必要なシーン。

ラピュタは結局滅びの呪文で天に昇ってしまうので、軍の連中に出会うまでにたっぷりラピュタの廃墟を見せてくれるのも長すぎず短すぎず良い配分。 とりあえず脚本がいいんですよ。絵もいいし、ドーラ一家のメカ系のデザインもいいんですけど脚本もいい。軍の飛行戦艦の名前がゴリアテってのもいいですね。倒される巨人という意味で戦艦の運命を暗示している。

いい映画見るといいですよね〜。途中で携帯いじりたい気持ちに全くならない。 ジブリは全部円盤持ってるわけじゃないんですけどちょいちょい見直して残していきたいと思います。