持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ホラー映画感想 「エスター ファースト・キル」

2022年アメリカ公開、日本では2023年公開の映画です。有名ホラーの「エスター」の前日譚ですね。監督はウィリアム・ブレント・ベル。主演は引き続きイザベル・ファーマンです。

 

エスター ファースト・キル

 

【あらすじ】

エストニアの精神科療養施設に入院している30代の女性リーナはホルモン異常のために少女にしか見えない外見を利用しては長年盗みや殺しを行っていた。ある日施設を脱走したリーナはアメリカの行方不明の少女エスターになることを思いつく。ロシアまで行き警察に保護されたエスター(リーナ)を迎えに母親のトリシアがやってくる。外見は似ているし誘拐されてから5年も経っているので成長しているのもおかしくないがエスターはしばしばおかしなことをいう。画家の父親に惹かれつつリーナはエスターのフリを続けることを選択するが、エスター行方不明事件を捜査していた警察がやってきてリーナの指紋とエスターの指紋を照合しようとするので、リーナはその警察を殺しに行く。ところが警察をナイフで刺しているところへトリシアがやってきて……

 

【感想】

あらゆる人が指摘してるんですが、「エスター」の続編を作るってのはめちゃくちゃ大変なんですよね。

まず第一に前作で明確にエスターが死んでいる点。これで時系列的に前作より後の話を作ることはできません。

第二にエスター役をやったイザベルが今や23歳だという点。前作から10年以上が経過しているわけです。前作の時は非常に演技がうまくて大人びた顔立ちの子役だったイザベルの名演で「本当は30代だけれど少女にしか見えない殺人鬼エスター」というのが説得力を持っていたんですが、実際のイザベルは普通に綺麗な女優さんで年齢相応に見えるのでもう9歳には見えないんです。

第三に、これはストーリー的な問題ですが、前作の肝は「なんだか不気味なエスターの正体は実は30代の女性だった」という驚きなのですが、これが知れ渡ってるんですね。今作ではみんなエスターの正体を知った状態から見始めるわけです。だから他のことで驚かせないといけない。前作同様に何も知らない家族にエスターがやってきて不安にさせ、最後に「ジャーン!実は大人でした!」とやっても「それもう知ってるし」となってしまう。

これに対する解決策が、

①前作より時系列的に前の話にする。

②スケールダブルを使うなどしてなんとか頑張って少女に見せる。

エスター視点の物語にして「バレそう」でハラハラさせる。意外な驚きをエスターではなくトリシアら家族の方に作る。

というものでした。

結構大変な条件が揃っていた割に頑張った続編だと思いました。

ただ、なんていうのか、製作陣がエスターを好きになりすぎちゃったのか、エスターに同情寄せられるように作ってあるんですよね。そのせいでなんかエスターがぬるくなってしまった。

なのであまりいい作品ではないですね。とはいえああいう作品の続編としての一つの解だと思います。