持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想137 ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島

ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 (字幕版)

2010年の映画です。これでナルニアの映画シリーズが終わってしまったのである意味失敗だったわけですが、ナルニアシリーズではうちの旦那はこれが一番好きと言っています。私は一番評価低くつけてるんですけれど。でもユースチスはいいキャラです!カスピアン王子の角笛から登場のリーピチープ、ネズミの騎士も前にもまして大活躍です。今回原題は“The Voyage of the Dawn Treader“で原作に邦題は「朝びらき丸 東の海へ」ですが、映画は何故かアスラン王と魔法の島なんですよ。アスラン王???魔法の島???と評判の悪い邦題。

 

あらすじ

エドマンドとルーシー、従兄弟のユースチスはナルニアへ。カスピアンは船で行方不明になった7人の貴族を探しに行くところだった。島々には奇妙な霧が出て人が消えている。一行は島々をめぐり7人の貴族と剣を集める。ある島で魔法の腕輪によりユースチスはドラゴンになってしまった。

 

感想

これ、原作からして非常に面白い映画を作りにくい作品なんですよ。だから監督(前2作とは違う方ですが)も頑張ったんだと思いますね。

そもそもこれ、7つの島を順番に巡る話なんですよ。エアベンダーの時も言ったかどうか定かでないですが、週刊漫画やアニメシリーズと違って2時間の映画だと似たようなことを何回もくり返すのって退屈で単調になってしまうものなんです。それをなんとかするためにめぐる島の数を減らし、複数の島で別々に起こったことを一つの島にまとめたりと様々な工夫をしていますね。

例えばユースチスがドラゴンになってしまって戻れなくなるのはかなり面白くて特異なシーンですが、実は原作ではあっという間に元に戻ってしまうんです。一つの島の中で片がつく。ヘナヘナで文句ばっかり言って嫌味なユースチスは映画のキャラだから面白くて可愛いし元気があって楽しいですけど、まぁ身近にいたら嫌なやつですよね。そのユースチスはドラゴンになって辛い思いをしてからいい子になるんですが、原作だと一つの島を抜ける前にアスランが来て戻してくれるんです。それは映画も同じですけどラストまで引っ張りましたね。私これは改良だと思います。ただ原作の死にかけたドラゴンがいてそれがユースチスの前で死んでしまい、それが実は貴族の一人で、竜になったユースチスがその屍肉を食べるという凄まじいシーンはなくなりましたね、映画では。まぁ映画でやっちゃうと話がホラー映画っぽくなってしまう。

エドマンドがまだめっちゃ白い魔女に取り憑かれてるのは映画オリジナルです。ルーシーのスーザンに憧れてるのは原作にチラッとあるシーンですね。それを広げた。

この話のクライマックスが盛り上がらなかったのってクライマックスの戦いの敵が幻だったからだと思うんですよ。アラゴルンよろしくカスピアンが演説ぶっていますがいまいち盛り上がらないのは敵の姿がないこと、また島々をめぐる小さな冒険からなった映画なので物語を貫く大きな敵がいないせいで倒すべき敵が存在感ないんですよ。挙句に見た目がエイリアンっぽい海蛇もエドマンドが空想したものだというのも最初からわかってますしね。敵の存在感がなさすぎてなんとなくプロジェクションマッピング相手に戦いのふりをしているような空虚さがある。

この映画シリーズここで終わってしまいました。第4章の銀のいすがめちゃくちゃに好きな私は本当に悲しくて悲しくて。今回の良キャラユースチスが学校の友達ジル・ポール(映画だと最後に家にやってきた子です)とともにカスピアンの治世の最後の時代に訪れます。ドラマで作ってるって話、どうなったかな。映像化してくれるといいんですけど。銀のいすは泥足にがえもん(原作だとPuddleglum)が出てくるんですけどほんと魅力的なキャラだし、緑の姫は怖いし巨人の国も怖いしで最高なので本当に早く映像化してほしい。十分な予算で映像化してください。。。

 

 

ファンタジー映画感想136 陰陽師

映画「陰陽師」

2001年。滝田洋二郎監督。野村萬斎安倍晴明になったやつ。原作が夢枕獏の「陰陽師」なので話が面白いんですよ。ずーっと見ちゃう。そして野村萬斎は上手いし真田広之も上手いしでいいんですけど、二人演技力のやばい人がいるためになかなかなことになっています。

 

あらすじ

源博雅は上役の依頼を受け陰陽師安倍晴明の屋敷を訪れ、彼と親しくなる。一方左大臣の娘が帝の息子を出産し、右大臣がそれを妬んでいた。右大臣の娘祐姫は帝の寵愛を受けていたが今は関心が薄れていた。帝の息子に呪がかけられ、晴明がそれを阻止する。呪をかけたのは陰陽頭の道尊だった。

 

感想

大ヒット小説の映画化なので話が面白いんですよ、とりあえず、とにかく。なのでスーッと見られるし見ていて辛いことはほぼないです。

ほぼ、というのは源博雅役の伊藤英明の演技が悪い意味でぶっちぎってやばいので。人の良さそうな感じは伝わってくるのでそういう意味ではいいキャスティングなのですが、とりあえず演技力がない。セリフが全部棒読みなのはいいです。でも震えるシーン、これが頻繁にあるんですが、この度に散歩で息が上がってハァハァ言ってる柴犬みたいになるのやめてほしい。笑ってしまう。あと無理に作ってもらった役っぽい密虫の今井絵理子ですね。人のセリフを繰り返すくらいしかセリフないのにその数少ないセリフで折角野村萬斎が作った世界観をぶっ壊していくスタイル。でも心和みました。あと彼女だけヘアメイク及び衣装がおかしかった気がします。でもいいよ、人間じゃないもんね。日本の映画だし。野村萬斎は良かったです。顔も陰陽師っぽいし、術の唱え方も変に大仰でなくて陰陽術玄人っぽかった。あ、術使うのに慣れてんだな、この人、という感じ。

CGが日曜朝の特撮みたいで、且つ2001年なのでそこはお察しください。

でも面白かったんですよね〜。最後のハムナプトラ平安京はあんまり面白くなかったですけどラスト40分までは非常におもしろかった。やっぱり映画は物語が面白ければ見れるんですよ。重要な役やってる役者が散歩帰りの柴犬だろうと、晴明が博雅に突然タメ口になって距離詰めてくるのが唐突だろうと。小泉今日子が綺麗なのと帝の岸部一徳、よかったです。

 

ファンタジー映画感想135 ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛

ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛 (吹替版)

2008年アメリカ。ナルニア国物語映画シリーズの第二弾ですね。ナルニア国物語には年代順(ナルニアの歴史順)の並べ方と刊行順がありますが映画はこの刊行順に出ていました。この映画、ナルニアシリーズでは私は一番好きです。

 

あらすじ

ナルニアテルマール人に征服され数百年。王子カスピアンは摂政のミラースに命を狙われ、ナルニア人のところへ逃げる。カスピアンの角笛に呼び出されたのはピーターら四人兄弟。ミラースはナルニア人を根絶やしにしようとしピーターとカスピアンに率いられたナルニアは戦いを挑む。

 

感想

原作とはかなり展開、キャラクター等違うんですけれどこれは改悪ではなく改良だと思います。少なくとも映画に知るには仕方ない。 そもそも原作が子供向けなんですよね。まぁ映画も子供向けなんですけどもう少し上の年齢まで見れるように作ってある。且つ原作も昔のものなので展開がゆっくりなんです。そのまま丸っと映画に移してしまうと緊張もフックも冒頭にないので映画を見にきた2008年の観客が飽きてしまう。

シナリオを習っていた時にプロデューサーの方に言われたんですけど映画って10分に一回は小さなクライマックスがないとお客が飽きちゃうんだそうです。なので原作通りに四人兄弟が学校へ行こうとしている平和なシーンで始めてしまうと、まぁ魔法はあるのでフックではあるんですが、刺激になれた観客には少々フックが弱い。そこで出産、暗殺の命令、王子の逃亡、現実世界にはいないドワーフや物言うアナグマとの出会いとたたみかけるわけです。上手いし緊張が高まるし移動の過程で景色も見せることができて「映画で別世界に行きたいな〜」という観客を満足させられます。

そして現代(物語の中の現代ですね。大戦の頃です)にジャンプし、ピーターらが学校へ行こうとしているところへ。ピーターが中心ですが彼らはかつてナルニアで大人になるまでの時間を過ごして、それから戻っているので、また無力な子供になって戸惑ったり苛立ったりしているんですね。ピーターは特に一の王から学生へ戻ったことで憤っている。それでバカみたいな喧嘩をしたりしているわけですが、ここはこの後のカスピアンとの軋轢の伏線ですね。同時に四人兄弟の前作からの人間関係の変化を見せます。

前作、エドマンドはピーターが父親ヅラをして仕切ることに反発し、それもあって白い魔女に味方してしまうのですが、今回はピーターが全面に正しいとは思っていないものの味方です。心酔してはいないので意見はきちんと言いますし、彼いい子になりました。ルーシーは相変わらずナルニアの天使です。スーザンはちょっと綺麗になりました。そしてこれくらいの年齢になると恋愛絡みでちょっと面倒な気持ちを味わったりしますがそれがでてきます。

角笛で呼ばれてナルニアに移動、殺されそうなトランプキンを助けるあたりは原作通り。この後地形の変化、アスランがルーシーにしか見えず他の兄弟がそれを信じないとかは原作通りですね、ほぼ。カスピアンとナルニア人との会合も大体原作と同じで原作でかなりページを割いていたナルニア人たち個別の紹介とかを省いています。バッカスの神らへんの話は映画を通じて総カットですがこれは正しいと思います。原作ではある種スタイルになっているんですが、一方で突然バッカスらがどの理に従っているのかもわからずでてきてチートしたりするとみんなが混乱するのでこれはカットしたほうがいい。LOTRのトム・ボンバディルカットと同じです。好きだし原作では魅力の一つなんですけど映画に入れると混乱を来すので致し方ないです。

ピーターとカスピアンの二人の王がいるせいでややこしくなってる感じは映画オリジナル。原作では二人とも礼儀正しく仲良しですが、それでは現代の話では面白くないので。歳も近くておまけに若くてお互い王たる自覚があるのでリーダーシップの取り合いになるのが自然です。ピーターは統治した記憶と自信があるけれどここ数百年のことは知らないし、カスピアンは今のナルニアのことや敵のことはよくわかっているけれど王子であって王として君臨したことはない。いいライバルなんですよ。

最初の敵のお城に忍び込む奇襲作戦、これは完全映画オリジナルです。うまくいかなかったんですけど途中まではワクワクしましたね。エドマンドの懐中電灯大活躍!あれは原作にも出てきますがこれほどの活躍はしません。猫ちゃんが縛られてるものリーピチープっぽくて可愛かったですね。 ただ結末は悲惨でした。逃げられなかったナルニア人たちがどんな風に殺されたかと思うと辛くてたまらない。

妙に怖いフード被った「俺は渇きだ、俺は飢えだ」の人と鳥みたいな顔をした女が白い魔女を呼び出すシーンは原作にもありますけど緊張感は映画の方が高いですね。原作では呼び出す前に終わってしまいますけれど。ここでニカブリクが死ぬのも原作と同じ。ナルニアって基本児童書らしいんですがたまにゾッとするほど怖いシーン(さいごの戦いで死んだライオンの皮を被って偽アスランになるところとか)あるんですがこれも底無しに怖いシーンの一つ。でもこれで漸くピーターとカスピアンが協力してくれます。

ピーターとミラースのシングルコンバットも原作にありますね。ソペスピアン卿が殺すのも同じです。グロゼールは映画では将軍になってますが、原作では貴族の一人でソペスピアンとほぼ同じ扱い。原作のソペスピアンはミラース殺した直後にピーターに首を刎ねられてますけど。ソペスピアンもグロゼールも映画の方がはるかにおいしい役でした。あの敵サイドにも思惑がある感じ、この映画に深みを与える上で役に立っていたと思います。川の神みたいな人が出てきたのも原作と同じですね。ソペスピアンの死に方美味しかった。グロゼールはただ職務に忠実な男からミラースの残酷さに段々ミラースを憎むようになり彼を陥れようとし、最後はミラースの妻と子供とともにテルマール人の故郷へ行く、あたり気持ちの変化も描いていてよかったです。美味しい役ですよ。テルマール人ってスペイン訛りなんですよね。みんな黒髪だし。いい味付けだとは思いますけども。

スーザンとカスピアンの淡い恋は映画オリジナルですが、これも良かったと思います。リーピチープのしっぽの下りも原作通り。

私がファンタジーを好きな理由って、ファンタジーならではの戦い方を含む戦争シーンが好きっていうのも一つなんです。歴史物だとどうしても悲惨さが勝ってしまうんですけどファンタジーだと魔法使ったりグリフィンが出てきたり巨人が出てきたりとわくわく感の方が強くて純粋に楽しめる。もちろん死者が出ると辛いんですけど、戦争シーンの工夫に血湧き肉踊っちゃうんですよ。この映画は城攻め、王の一騎討ち、平原での大規模戦争と三つ大興奮の戦闘シーンがあるので多分お気に入りなのかも。それでいてどこも焦ったり端折った感じがないんですよ。良い作品だと思います。お気に入り。

ファンタジー映画感想134 センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島

センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島 (字幕版)

2012年アメリカ映画。センター・オブ・ジ・アースのアトラク映画の第二弾ですね。前回の子どもショーンが今回も出てきます。前回と同じ役者で、今回は叔父さんではなくママの再婚相手と旅に出ます。その再婚相手がロック様ことドウェイン・ジョンソンドウェイン・ジョンソンと一緒なら確実に生きて帰れる気がします!今回は前回でなくて残念だったな〜というノーチラス号も出てきます。やっぱりヴェルヌと言えばノーチラス号でしょ!という感じ。

 

あらすじ

ショーンは冒険家の祖父から暗号で神秘の島を見つけたとメッセージを受け取る。義理の父ハンクと共にパラオを訪れたショーンは案内人のガバチョと娘のカイラニと共に神秘の島へ。祖父と再会しアトランティスを見つけるも島は数時間で沈む。島を抜け出すにはノーチラス号を見つけるしかない。

 

感想

結構面白く見ました。ずっと飽きずに見れたので一作目よりいいと思う。何がよかったのか考えるとテーマがよかったのかな?母の再婚相手とうまくいってないティーンエイジャーの息子が死んだ自分の息子の妻と結婚した男を面白く思っていない祖父がだんだん誠実なドウェイン・ジョンソンを認めていく。

ガバチョはコミックリリーフなんですけど、娘には本当に深い愛を持っていて娘もそれをわかっていて父親を愛してるんですよね。そういう意味でこの映画はあらゆる父と子供の関係、義理も含めて父子の関係を描いた映画です。そして神秘の島も美しかったな〜。 ディズニーの映画なので脚本にテクニックがありますからちゃんとクライマックスで二回三回とピンチが訪れ、適切な分量の努力と閃きと協力で登場人物たちはそれを乗り越えていく。

お恥ずかしい話ですけど私ヴェルヌってほとんど読んだことないんです。でもこの映画見たら読もうって気になった。3も見たいな〜。

 

 

ファンタジー映画感想133 ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女(吹替版)

2005年。世界三大ファンタジーってあるんですが、「指輪物語LOTR)」とこの「ナルニア国物語」、そして「ゲド戦記」です。「はてしない物語」が入ることもあります。その映画ですし、指輪ほどではないけれど私好きなんですよ。
 
あらすじ
疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーの四人兄弟。衣装箪笥を通り抜けるとそこは100年冬が続くという魔女が支配するナルニア、物言う獣の国だった。ナルニアには人間の子供が四人くると魔女が死に春が訪れるという予言がある。子供たちはナルニアをめぐる戦争に参加する。
 
そもそもナルニア国物語というのは、C・S・ルイス原作の英国児童小説ですね。名前が「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の作者のルイス・キャロルとなんか似ていて日本人的には???となりますけど別人です。C.S.ルイスケンブリッジで中世ルネサンス英文学の教授を勤めました。ルイス・キャロルはオックスフォードの数学と論理学の教授ですね。
ナルニアは全部で7冊あります。刊行順に言いますとこの「ライオンと魔女」、次が「カスピアン王子のつのぶえ」、「朝びらき丸 東の海へ」、そして私のお気に入り「銀のいす」、シリーズの中で唯一こっちの世界と行き来しない作品「馬と少年」、そしてナルニア創世の話である「魔術師のおい」、最後がナルニアの終焉を描いた「さいごの戦い」です。でもナルニアの年代順で言うと、魔術師のおい、ライオンと魔女、馬と少年、カスピアン王子のつのぶえ、朝びらき丸 東の海へ、銀のいす、さいごの戦い、となります。日本語だと「ナルニア国物語」ですけど、英語では"The Chronicles of Narnia"となっていてクロニクル、つまり年代記なんですよね。今回ご紹介する映画シリーズは刊行順で作られていました。
 
柔らかいことだけ言いますとかなり映画としても私は好きです。動物のCGでおかしいなと思うところはないですし、原作の改悪もないです。ちょっと前半兄弟仲ひどいとかピーターのエドマンドに対する態度が酷すぎてこいつ絶対大人になったらパワハラ上司になるよ、と思ったとか色々あるにはあるんですけどね。後半の仲良くなった後との差を見せるために前半喧嘩ばっかりにしてるんでしょう。ルーシーにはみんなゲロ甘なので結果エドマンドいじめてるみたいに見えちゃう。まぁ、私スネ夫とかそういうタイプの男子大好きなので、エドマンドも大好きなんですけど。キルアとか好きですし。 この作品見た人の感想の中に「なんでサンタクロースなの?」みたいなの時々あるんですが、まぁ子供の本なので「ナルニアってずっと冬なの?でも冬はクリスマスがあるからいいじゃん」ってならないためにクリスマスのない冬ってのにしてるんでしょうね。
あとこの話に出てくるライオンのアスラン、彼はキリストです。シリーズの中で「君の世界では別の名前で呼ばれている」みたいにいうところも出てきますし石舞台で犠牲になって復活するのとかモロキリストです。作者がクリスチャンだったのでシリーズ通じてそれは感じてください。キリスト教の香り、めっちゃ香るけどそれ狙ってるんで大丈夫です。そもそも作者がキリスト教の熱心な信者で子供向けに基礎を描こうって言うので書いたらしいんですよ。その割にはフォーンとか異教的なものがじゃんじゃん出てくるのでどの程度キリスト教教えるぞ〜って意識して書いたのかは謎ですけれども。
フォーンのタムナスさん、見た目良かったですね〜!全然違和感のない自然なフォーン!セントールたちもすごく良かった。フォーンもセントールも割と好色な生き物なんですけどナルニアではそういう設定はない。
衣装・小道具については味方陣営のは最高です!ピーターのもらう剣とかスーザンの弓とかね。鎧も良かった。ガールズのドレスもそれぞれらしくて素敵でした。戴冠式のお洋服も素敵でした〜!ボーイズの服はアラゴルン戴冠式の服にめっちゃ似てる。こんなんなんだろうな。ただ敵陣営はよろしくなかったですね。魔女の杖は良かったけれどそれ以外はなんかちょっとなデザインでした。特に魔女のドレスはなんか変だった。この時代にそんなドレス作れんの?っていう。ティルダ・スウィントンだから綺麗だけど他の人がきたらどうなるんだよっていうデザイン。もっとも最後の戦争のシーンの前夜アスランから刈り取った鬣を使った風なお衣装は良かったです。あくまで風でしたけど。と言うよりは、あれ、あの白い魔女の兜なんだか王冠なんだかもゴールドでちょっとライオンの頭を思わせたので、ひょっとして偽アスランだったのかな?アスランを殺して偽アスラン、偽キリストが立つ、と言うことかな。
ビーバーの家の内装や小道具は木彫りの製品が多くていかにもビーバーらしくて非常に良かったですね。最後のケア・パラベルも良かった。ただファンタジーにおける悪の城ってかなり昔から変わってなくて、ぼうっと緑か青に下から輝く素材の謎な、どうやって寝てんの白い魔女?みたいなお城なんですよね〜。これはLOTRもそうでした。みんなベッドとかどうしてんの?みたいな。まぁサウロンは寝ないか。白い魔女も寝室とかないのか?それとも寝室だけは快適な感じなのか。著作権でアウトじゃなかったら各ファンタジー映画の悪の城の写真をずらっと並べて比較したいです。
戦争のシーン良かったです。ファンタジー映画で大好きなのが合戦シーンでそれぞれの工夫を凝らした戦い方が大好きなんですけど、ナルニアは物言う獣の国なのでそれを生かした戦い方が出てきます。それがグリフォンなんかの飛ぶ獣たちが投石器の代わりに石落としにいくシーンですね。あれは良かった。魔女が白熊2頭の引くチャリオットで出てきたシーンはテンション上がりましたね。チャリオット大好き!かっこいいですよ。
キャストも良かったです。ペベンシー兄弟はルーシーは金髪じゃないの?ってところを除けばイメージそのものだしエドマンドもピーターも本から抜け出たみたい。スーザンはもう少しわかりやすい美人でも良かった気もしますが物語的にはルーシーの方が魅力的でないといけないのでいいと思います、魅力的なのは魅力的なので。 アスランはCGキャラだし見た目完全なるライオンなので表情ではさほど感情を表せないので相当声で表せる人を使わないといけないんですけどリーアム・ニーソンでした。さすが!白い魔女ティルダ・スウィントンもめちゃくちゃ良かったです。美しくて、でも怖いような感じ。心がないような、冷たいような。
色々ありまして、この映画シリーズは第3章までで終わってるんですが、それでも私としては必ず見てほしいファンタジーのリストに入れておきたい作品です。

 

ファンタジー映画感想132 インクハート/魔法の声

インクハート/魔法の声(字幕版)

2008年。原作はコルネーリア・フンケ。「どろぼうの神様」の作者ですね。ドイツ人ファンタジー作家に対してすごいと思ってしまいがちなんですけど正直この映画に関してはあんまりだったなぁ。ちゃんとしてたんですけどね。という話をしていきます。

 

あらすじ

モーティマは朗読で本からキャラを呼び出せる魔法舌。「インクハート」と言う本を読んだ際中から悪役と火吹き男の<ホコリ指>を出し、代わりに妻が本の中に入ってしまった。それから数年、彼は娘と共に妻を本から出すため「インクハート」を探していた。ついに見つけたが、同時に本に戻りたいホコリ指と、もっと本から財宝などを取り出したい悪役も彼を見つけたのだった。

 

感想

ハムナプトラブレンダン・フレイザーが主役です。悪役のカプリコーンはLOTRのゴラムでお馴染みアンディ・サーキス

ちゃんと動きもあるし、本からお馴染みのキャラクターもたくさん出てくるしで本好きならワクワクするシーンもあると思います。オズ魔からトトと翼のある猿とかね。ラプンツェルも出てくるし、ピーター・パンの時計ワニも出てくるし。ミノタウルスとか。メインはオリジナルキャラですけども。 この映画に対するネガティブな感想で「ラプンツェル以外は知っているキャラが出なかった。オリジナルばかりでがっかり。せっかく本からキャラが出て来るのに」とか言ってる人がいましたが、結構ちゃんと本の登場人物で出てるよ!多分この感想書いてる人がろくに本読んでないんでしょう。確かにオズの魔法使いに偏ってるところはあるんですけど、権利の関係じゃないかなぁ。

さて本題に戻ります。舞台もイタリアのお城なのかな、綺麗です。おばさまの家の図書室はワクワクします。衣装はパッとしないんですけどね。最後の朗読会で娘のメギーが着てるドレスどうした?って感じです。

多分、なんかいまいちな理由って妻のレサが主人公が来る前に物語から出てきていたことと主人公が誰かはっきりしないことだと思います。言わば主人公の活躍不足。主人公が複数いて同時平行的に進んでいく話ならいいんですよ。LOTRとかね。でもあれはかなり長い話だったのでそれで成立したんですが、これそんなに長くない上に主人公せっかく魔法舌なのにクライマックス朗読しないで取っ組み合いで貢献してるんですよ。腕力による貢献。最後ホコリ指を本に返してあげましたけど。

加えて主人公がなんか物語のキャラクターに対して偉そうだって言うのも引っかかりましたね。 でも作家が自分の創作物にあえて嬉しそうにするのは可愛かったなぁ。まぁこうなるよね!と言う感じ。妻が本から出されてから主人公たちがカプリコーンの城に乗り込んでくるまでメイドやってるんですけどかなりサボってるんですよ。こんなにサボってて平気なのかと思ってしまった。刃物も自由に盗めるし。なんか細部気になりました。

面白くないわけではないしちゃんとまとまってるし味方サイドのキャラクター魅力的ですけど悪役が怖くないのと悪役の動機が弱いのと主人公が十分に活躍しないこと、なんか合わせて一回見れば十分だし一回も見なくても全然大丈夫な映画です。でも見ても後悔とかはしません。

ファンタジー映画感想131 ティム・バートンのコープスブライド

ティム・バートンのコープスブライド (字幕版)

2005年。ストップモーションアニメです。いかにもティム・バートンぽい。私この映画好きなんですよ。76分の短い映画なんですけどまとまっていて非常に良い。音楽もいいし。キャラクターも良いし最後もスカッとする。元はロシアの民話。

 

あらすじ

成金の息子と没落貴族の娘の結婚。リハの日、ヴィクターはヴィクトリアに一目惚れ。誓いの練習をしていた彼は誤って死体の花嫁と結婚する。彼女は駆け落ちの約束をしたが男は来ず殺されたのだ。ヴィクターは生者の国に戻ろうとする。一方突然現れた金持ち男がヴィクトリアと結婚しようとする。

 

感想

エミリー(死体の花嫁)もヴィクトリア(没落貴族の娘であまり美人でない)もすごくいい子で魅力的なので好感が持てる。ヴィクターもいいやつ。エミリーをふる格好になるんだけどそれでもエミリーに対して誠実だしエミリーが許すピアノの連弾のシーンも納得がいく。あれはセリフなしで心の変化、心の触れ合いを描くうまいシーンなので、昨今の何でもセリフで説明しないと死ぬと思ってる垢抜けない監督とか脚本書きの皆さん参考にしてくれよ。全部セリフで言うと白けるからやめてくれ。

両親は両家とも感じが悪いんですけど物語的に必要なのでね。イライラはしない。音楽もいいです。

ティム・バートン的色調、画面の暗さなんですけど人物の顔が白かったりするので見づらいと言うことはないです。死者の国のみんなも陽気ですごく人好きがする。

76分、短い映画ですけど無駄なシーンもなく文句なし、いいとこいっぱいで上からものを言って僭越ですけど100点満点という感じ。