持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想137 ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島

ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 (字幕版)

2010年の映画です。これでナルニアの映画シリーズが終わってしまったのである意味失敗だったわけですが、ナルニアシリーズではうちの旦那はこれが一番好きと言っています。私は一番評価低くつけてるんですけれど。でもユースチスはいいキャラです!カスピアン王子の角笛から登場のリーピチープ、ネズミの騎士も前にもまして大活躍です。今回原題は“The Voyage of the Dawn Treader“で原作に邦題は「朝びらき丸 東の海へ」ですが、映画は何故かアスラン王と魔法の島なんですよ。アスラン王???魔法の島???と評判の悪い邦題。

 

あらすじ

エドマンドとルーシー、従兄弟のユースチスはナルニアへ。カスピアンは船で行方不明になった7人の貴族を探しに行くところだった。島々には奇妙な霧が出て人が消えている。一行は島々をめぐり7人の貴族と剣を集める。ある島で魔法の腕輪によりユースチスはドラゴンになってしまった。

 

感想

これ、原作からして非常に面白い映画を作りにくい作品なんですよ。だから監督(前2作とは違う方ですが)も頑張ったんだと思いますね。

そもそもこれ、7つの島を順番に巡る話なんですよ。エアベンダーの時も言ったかどうか定かでないですが、週刊漫画やアニメシリーズと違って2時間の映画だと似たようなことを何回もくり返すのって退屈で単調になってしまうものなんです。それをなんとかするためにめぐる島の数を減らし、複数の島で別々に起こったことを一つの島にまとめたりと様々な工夫をしていますね。

例えばユースチスがドラゴンになってしまって戻れなくなるのはかなり面白くて特異なシーンですが、実は原作ではあっという間に元に戻ってしまうんです。一つの島の中で片がつく。ヘナヘナで文句ばっかり言って嫌味なユースチスは映画のキャラだから面白くて可愛いし元気があって楽しいですけど、まぁ身近にいたら嫌なやつですよね。そのユースチスはドラゴンになって辛い思いをしてからいい子になるんですが、原作だと一つの島を抜ける前にアスランが来て戻してくれるんです。それは映画も同じですけどラストまで引っ張りましたね。私これは改良だと思います。ただ原作の死にかけたドラゴンがいてそれがユースチスの前で死んでしまい、それが実は貴族の一人で、竜になったユースチスがその屍肉を食べるという凄まじいシーンはなくなりましたね、映画では。まぁ映画でやっちゃうと話がホラー映画っぽくなってしまう。

エドマンドがまだめっちゃ白い魔女に取り憑かれてるのは映画オリジナルです。ルーシーのスーザンに憧れてるのは原作にチラッとあるシーンですね。それを広げた。

この話のクライマックスが盛り上がらなかったのってクライマックスの戦いの敵が幻だったからだと思うんですよ。アラゴルンよろしくカスピアンが演説ぶっていますがいまいち盛り上がらないのは敵の姿がないこと、また島々をめぐる小さな冒険からなった映画なので物語を貫く大きな敵がいないせいで倒すべき敵が存在感ないんですよ。挙句に見た目がエイリアンっぽい海蛇もエドマンドが空想したものだというのも最初からわかってますしね。敵の存在感がなさすぎてなんとなくプロジェクションマッピング相手に戦いのふりをしているような空虚さがある。

この映画シリーズここで終わってしまいました。第4章の銀のいすがめちゃくちゃに好きな私は本当に悲しくて悲しくて。今回の良キャラユースチスが学校の友達ジル・ポール(映画だと最後に家にやってきた子です)とともにカスピアンの治世の最後の時代に訪れます。ドラマで作ってるって話、どうなったかな。映像化してくれるといいんですけど。銀のいすは泥足にがえもん(原作だとPuddleglum)が出てくるんですけどほんと魅力的なキャラだし、緑の姫は怖いし巨人の国も怖いしで最高なので本当に早く映像化してほしい。十分な予算で映像化してください。。。