持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想133 ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女(吹替版)

2005年。世界三大ファンタジーってあるんですが、「指輪物語LOTR)」とこの「ナルニア国物語」、そして「ゲド戦記」です。「はてしない物語」が入ることもあります。その映画ですし、指輪ほどではないけれど私好きなんですよ。
 
あらすじ
疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーの四人兄弟。衣装箪笥を通り抜けるとそこは100年冬が続くという魔女が支配するナルニア、物言う獣の国だった。ナルニアには人間の子供が四人くると魔女が死に春が訪れるという予言がある。子供たちはナルニアをめぐる戦争に参加する。
 
そもそもナルニア国物語というのは、C・S・ルイス原作の英国児童小説ですね。名前が「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の作者のルイス・キャロルとなんか似ていて日本人的には???となりますけど別人です。C.S.ルイスケンブリッジで中世ルネサンス英文学の教授を勤めました。ルイス・キャロルはオックスフォードの数学と論理学の教授ですね。
ナルニアは全部で7冊あります。刊行順に言いますとこの「ライオンと魔女」、次が「カスピアン王子のつのぶえ」、「朝びらき丸 東の海へ」、そして私のお気に入り「銀のいす」、シリーズの中で唯一こっちの世界と行き来しない作品「馬と少年」、そしてナルニア創世の話である「魔術師のおい」、最後がナルニアの終焉を描いた「さいごの戦い」です。でもナルニアの年代順で言うと、魔術師のおい、ライオンと魔女、馬と少年、カスピアン王子のつのぶえ、朝びらき丸 東の海へ、銀のいす、さいごの戦い、となります。日本語だと「ナルニア国物語」ですけど、英語では"The Chronicles of Narnia"となっていてクロニクル、つまり年代記なんですよね。今回ご紹介する映画シリーズは刊行順で作られていました。
 
柔らかいことだけ言いますとかなり映画としても私は好きです。動物のCGでおかしいなと思うところはないですし、原作の改悪もないです。ちょっと前半兄弟仲ひどいとかピーターのエドマンドに対する態度が酷すぎてこいつ絶対大人になったらパワハラ上司になるよ、と思ったとか色々あるにはあるんですけどね。後半の仲良くなった後との差を見せるために前半喧嘩ばっかりにしてるんでしょう。ルーシーにはみんなゲロ甘なので結果エドマンドいじめてるみたいに見えちゃう。まぁ、私スネ夫とかそういうタイプの男子大好きなので、エドマンドも大好きなんですけど。キルアとか好きですし。 この作品見た人の感想の中に「なんでサンタクロースなの?」みたいなの時々あるんですが、まぁ子供の本なので「ナルニアってずっと冬なの?でも冬はクリスマスがあるからいいじゃん」ってならないためにクリスマスのない冬ってのにしてるんでしょうね。
あとこの話に出てくるライオンのアスラン、彼はキリストです。シリーズの中で「君の世界では別の名前で呼ばれている」みたいにいうところも出てきますし石舞台で犠牲になって復活するのとかモロキリストです。作者がクリスチャンだったのでシリーズ通じてそれは感じてください。キリスト教の香り、めっちゃ香るけどそれ狙ってるんで大丈夫です。そもそも作者がキリスト教の熱心な信者で子供向けに基礎を描こうって言うので書いたらしいんですよ。その割にはフォーンとか異教的なものがじゃんじゃん出てくるのでどの程度キリスト教教えるぞ〜って意識して書いたのかは謎ですけれども。
フォーンのタムナスさん、見た目良かったですね〜!全然違和感のない自然なフォーン!セントールたちもすごく良かった。フォーンもセントールも割と好色な生き物なんですけどナルニアではそういう設定はない。
衣装・小道具については味方陣営のは最高です!ピーターのもらう剣とかスーザンの弓とかね。鎧も良かった。ガールズのドレスもそれぞれらしくて素敵でした。戴冠式のお洋服も素敵でした〜!ボーイズの服はアラゴルン戴冠式の服にめっちゃ似てる。こんなんなんだろうな。ただ敵陣営はよろしくなかったですね。魔女の杖は良かったけれどそれ以外はなんかちょっとなデザインでした。特に魔女のドレスはなんか変だった。この時代にそんなドレス作れんの?っていう。ティルダ・スウィントンだから綺麗だけど他の人がきたらどうなるんだよっていうデザイン。もっとも最後の戦争のシーンの前夜アスランから刈り取った鬣を使った風なお衣装は良かったです。あくまで風でしたけど。と言うよりは、あれ、あの白い魔女の兜なんだか王冠なんだかもゴールドでちょっとライオンの頭を思わせたので、ひょっとして偽アスランだったのかな?アスランを殺して偽アスラン、偽キリストが立つ、と言うことかな。
ビーバーの家の内装や小道具は木彫りの製品が多くていかにもビーバーらしくて非常に良かったですね。最後のケア・パラベルも良かった。ただファンタジーにおける悪の城ってかなり昔から変わってなくて、ぼうっと緑か青に下から輝く素材の謎な、どうやって寝てんの白い魔女?みたいなお城なんですよね〜。これはLOTRもそうでした。みんなベッドとかどうしてんの?みたいな。まぁサウロンは寝ないか。白い魔女も寝室とかないのか?それとも寝室だけは快適な感じなのか。著作権でアウトじゃなかったら各ファンタジー映画の悪の城の写真をずらっと並べて比較したいです。
戦争のシーン良かったです。ファンタジー映画で大好きなのが合戦シーンでそれぞれの工夫を凝らした戦い方が大好きなんですけど、ナルニアは物言う獣の国なのでそれを生かした戦い方が出てきます。それがグリフォンなんかの飛ぶ獣たちが投石器の代わりに石落としにいくシーンですね。あれは良かった。魔女が白熊2頭の引くチャリオットで出てきたシーンはテンション上がりましたね。チャリオット大好き!かっこいいですよ。
キャストも良かったです。ペベンシー兄弟はルーシーは金髪じゃないの?ってところを除けばイメージそのものだしエドマンドもピーターも本から抜け出たみたい。スーザンはもう少しわかりやすい美人でも良かった気もしますが物語的にはルーシーの方が魅力的でないといけないのでいいと思います、魅力的なのは魅力的なので。 アスランはCGキャラだし見た目完全なるライオンなので表情ではさほど感情を表せないので相当声で表せる人を使わないといけないんですけどリーアム・ニーソンでした。さすが!白い魔女ティルダ・スウィントンもめちゃくちゃ良かったです。美しくて、でも怖いような感じ。心がないような、冷たいような。
色々ありまして、この映画シリーズは第3章までで終わってるんですが、それでも私としては必ず見てほしいファンタジーのリストに入れておきたい作品です。