持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

NOPE感想

「ゲットアウト」、「アス」と大好きなのでジョーダン・ピール監督の最新作「NOPE」を見てきました。

ゲット・アウト(字幕版)

アス (字幕版)

2022年作品。

 

あらすじ

OJの家は映画撮影用の馬の牧場。父親がある日空から落ちてきたコインが頭に当たったことが原因でなくなります。OJは後を継ぎますが、社交的でないOJはなかなか映画の雰囲気に馴染めず牧場の経営は思わしくない。妹のエメラルドは社交的ですがお調子者で牧場の仕事は副業と考えています。彼らは馬を近隣の遊園地売るなどしてなんとか凌いでいる状態です。

停電が起こった時に謎の影を雲に見たことから、エメラルドはOJに「UFOの写真を撮って賞金をせしめよう」ともちかけます。OJは乗り気ではないですが一応OKします。空に向けた監視カメラを設置したことから近所の電気屋の店員エンジェルもこのUFO撮影計画に参加します。彼らはカメラの映像を見るうちに気がつきます。彼らがUFOだと思っているものは船、何かの乗り物ではない。それ自体が生き物で、それは人間や馬を吸い上げて食っているのだと。

 

感想

私はこの映画結構好きです!まぁ大傑作なのかと言われたらそんなことはないでしょうが、少なくとも1900円で見て後悔はしません。最初はUFO撮影に大乗り気なのはエメラルドで、OJはイヤイヤ、という感じだったのですが、大被害が出た後にそれは逆転して、OJが乗り気になって妹が完全にビビっちゃうんですよね。OJは調教師なので、相手が高度な知的生命体の乗る空飛ぶ船ではなく、空飛ぶ怪物であるということがわかると逆に対応できると感じちゃうんですよ。これが面白い。

また昔のテレビショー、猿と人間の家族のホームコメディドラマの現場で起こった事故のシーンは怖いです。人間って動物を御せるものだと侮っていますけど、実際動物が暴れ出したら全然対応できないんですよ。本当にtrainできているのか、という疑問。サルの凶行のシーンは本当に怖い。それほど大きな猿じゃないんですけど力も強くて、ソファから倒れた人間の足が見えるだけなんですけどとび散った血やなぜかバランスよく立ったままの少女の靴が怖い。

怪物に弱点が設定されているのも倒す方法とか作戦がわかりやすくていいです。

途中参加の老練なカメラマンホルストは印象が完全に「ジョーズ」のフーパーみたいなんですが、フーパーの方が印象深いですね。

遊園地のオーナーのジュピなんですが、無理矢理この映画に悪役を見出そうとすると多分このジュピが悪ですね。元子役で、例の猿大暴れのドラマに出ていました。猿の凶行を見ていた人物でもあります。ハンサムなアジア系で、ぱっと見感じがよくて優しげなんですが、例の猿の大暴れの個人的な展示室みたいなものを作って有料で貸したりしていて、爽やかな見た目の割に、なんというか根っからの興行主だなという感じ。その興行主魂のせいでこの問題が起こった感じです。

 

ちなみに超重要情報ですが、この作品、犬や猫は死にません。馬は、死んでいたんだろうなぁというのは感じますが映画の中で馬が死ぬシーンも出てこない。

でも猿は死にます。人間はだいぶ死にます。

さして怖い映画じゃないので、ホラー映画観れないわって人でも全然いけると思いますね。残虐なシーンもほぼないです。例の猿大暴れくらい。

 

ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷

ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷

これは2019年のホラー映画ですね。監督はスコット・ベックとブライアン・ウッズ。

期待してなかったんですけど意外に面白かったのでご紹介。

でもファンタジー映画感想と言いながらホラーばっかりのご紹介であれですけど、最近色々見たのでまだまだホラーが続くと思ってください。すみません。でもホラーとファンタジーって似てるから!

 

あらすじ

ハーパーはDV彼氏と別れたいけど別れられない〜みたいな状況にいます。あるハロウィンの夜、彼氏のことで鬱々としていたハーパーを女友達数名がクラブに連れ出してくれます。そこで友達の友達と知り合い、仲良くなったハーパーたちはお化け屋敷に繰り出すことにします。ハロウィンの夜なのであちこちでお化け屋敷をやってるんですね。少し郊外にあるお化け屋敷を選んだ彼らは奇妙な話さないピエロに促され、同意書に署名、スマホを預けてお化け屋敷に入ります。

ところがこのお化け屋敷、殺人鬼が複数名で集まった、お客を惨殺するためのお化け屋敷だったのです。お化け屋敷の演出だと思っているから目の前で他のお客が殺されても違和感は感じても逃げ出すところまで行かないハーパーたち。しかし友達が怪我をし、閉じ込められたあたりからパニックになります。1人ずつ殺されていく仲間たち。絶体絶命の状況の中で、か弱かったハーパーが強さを見せ始めます。

 

感想

ヒロインのハーパーがめちゃくちゃ強くて最高です。こんな強いヒロイン見たことないわ!という感じ。私、お化け屋敷好きなんですけどお化け屋敷好きはお化け屋敷の内装とか仕掛けも面白いんじゃないかな?終わり方は最高すぎるのでぜひ見てください。こんな痛快な終わり方するホラー映画も珍しいです。

ハロウィン(2018年)

ハロウィン (字幕版)

1978年の「ハロウィン」の続編ですね。監督はデヴィッド・ゴードン・グリーン

なんと私は1978年版を見ていないのに見ました。タイトルだけで見てこれが続編だとわかっていなかったのです。

 

あらすじ

2018年10月、かつて大量殺人を犯し精神病院に収容されてきたマイケル・マイヤーズが別の刑務所に移送されることになります。彼に取材にきた犯罪系ポッドキャストの配信者2人はマイケルを刺激します。30日の夜、移送される時に逃げ出したマイケル・マイヤーズは殺人を繰り返しながら過去の事件の生き残りであるローリー一家を狙います。

ローリーは事件の後極端に用心深くなり、家を要塞のように改造し、銃器を集め、娘のカレンを訓練しています。あまりに異常なその様子にカレンとローリーの関係やあまりよくなく、カレンはローリーにとっては孫にあたる娘のアリソンとローリーが親しくするのもよくないと思っています。

ハロウィンの夜、マイケル・マイヤーズはローリーたちに近づきます。しかしローリーにとってもこの日は待ち望んだ日なのでした。彼女は40年、彼を殺そうと準備してきていたのです。

 

感想

この映画、面白くはあったんですけど私的にはホラー映画のベスト10とかには入らなくて、なんでかっていうと枝葉の人物のパートが長いんですよね。マイケルを見てきた精神科医のパートとかね。もっと主役に焦点絞って映画作ってほしい。

でも面白かったのは事実で、どこが面白かったってやっぱり女3世代(ローリー・カレン・アリソン)対マイケル・マイヤーズっていう構図ですよね。あと家がかっこいい。「アオラレ」もそうだったけれど本来非力な女性や子供が自分より圧倒的に強い殺人鬼と場所をよく知っているという知識を使って戦うの面白いですよ。この話だとさらにローリーが家をありえないくらい改造してて本当に面白いのでぜひ見てほしいです。

ハッピー・デス・デイ

ハッピー・デス・デイ (吹替版)

ホラー映画ですね。ホラーコメディ。2017年の作品です。

監督はクリストファー・ランドン。主演はジェシカ・ローテ。

 

あらすじ

女子大生のツリーは人気者でイケてる女の子なのですが、はっきり言えば嫌なやつ。酔っ払っていろんな男と寝て、デートした相手にも失礼な態度を取り、教授と不倫をしていて、父親との約束をすっぽかし、ルームメイトが作ってくれたケーキを「こんな糖質の高いもの食べるわけない」と目の前でゴミ箱へ。友達の好きな男の子とその友達の目の前でキスしたりもします。

そのツリーがある誕生日の日の夜に殺されます。殺された、と思うとその日の朝。ツリーはループにハマってしまったのです。犯人を見つけない限り永遠に殺害される1日を繰り返す。ツリーは容疑者リストを作りますがあまりに数が多い。ツリーは犯人を探しながら自分の生活のことも考えるようになります。

 

ホラーとしては全然怖くなくて、まぁコメディとして見るのが正解ですね。ツリーが可愛いのでそれが癒し。無茶苦茶なんだけどなんとなく憎めない女の子です。結構楽しく見れました。

ファンタジー映画感想162 シン・ウルトラマン

見ました〜。評価を下すのが難しい映画だったな。「面白い映画だった!こんな名作滅多にないから絶対見て!」ってほどではないんですけど「クソ映画だったから見なくても全く問題ないですよ〜」ってわけでもないんですよ。つまらなかった。でもアイディアがいいなと思うのは確かにあったんです。面白い部分は確かにあった。でも脚本はしょりすぎで人間関係が十分に描けてないせいで感動が薄いのと、無意味なフェチシーンの連発で令和3年の感覚で見ているとだいぶしんどい。でもアイディアがいい部分は確かにあったんですよ。でもセリフがくどかった。高度に発達した知的生命体について人間が考えるとどうしてもくどくどした政治家っぽくなってしまうのは想像力の限界なのかな?

 

2022年の日本の映画です。監督は樋口真嗣。脚本が庵野秀明です。

 

大怪獣シリーズ ウルトラマン ( シン・ウルトラマン ) 少年リック限定 発光ver.

 

あらすじ

既存の兵器では歯が立たない怪獣(禍威獣と書きます)に対して政府は禍威獣特設対策室専従班を作ります。そのメンバーの1人である神永はある日任務の最中に子供を守ろうとして瀕死に。それを見かけたウルトラマンは彼に心動かされ彼と一つとなり、基本は神永、怪獣が出てくると銀色の巨人ウルトラマンとなって戦うように。最初は高度な知能を持たない怪獣ばかりでしたが、ある時から高度な知能を持った人型の宇宙人が地球にやってくるようになります。ウルトラマンの存在は彼らにとって邪魔となり、神永は誘拐されます。

 

感想

これ、Hey!Say!JUMPの有岡くんが出ていたのと「シンゴジラ」がめちゃくちゃ好きだったからという理由で見ました。私がHey!Say!JUMPで特に好きなのは中島裕翔くんで、基本好きなアイドル箱推しなんですけど推しグループのメンバー全ての個人仕事をチェックしていたら時間もお金もアレなことになるので基本やらないんですけど、今回はシンゴジラ好きだし評判いいし、で見たんですよ。公開二日目かなんかに。

最初はめちゃくちゃ興奮しました。シンゴジラの焼き直しみたいなのでもいいや〜と思って見にいったんですけど最初からそれを超えてた。怪獣が初めて日本に現れた時のパニックとそこを乗り越える過程を描いたのがシンゴジラでしたが、シンウルトラマンは怪獣襲来が日常化してみんなややダラダラしていて、更にそれが新しいフェーズに入った時に外部からよくわからない救済(ウルトラマン)がもたらされたっていう状況の話なんですよね。この「外部からもたらされたよくわからない救済」ってところがポイントで、なんだかよくわからないから信じるに信じられないんですよ。それに意味不明に強いからみんなダラダラ頼ってしまうし。こういうふうになるだろうな、という感じで面白かった。

一方で映画としてよくないところもあって、それが時間配分です。

書きたいことを時間内に収めるために大急ぎなんですよ。おかげでヒロインたる長澤まさみ演じる浅見と神永のバディの絆が十分に描けてない。ちょいちょいシーンで「バディを何と心得てるのかしら?」とか「バディだもんね」みたいなセリフがあるんですけど絆ができるシーンが描かれてないからすごい「口だけバディ」っぽくなっちゃってて感動できない。

あと長澤まさみが浅見やってくれたからだと思うんですけど、制作陣の「せっかくまさみさまがやってくれたんだから妄想全部叶えようぜ」が露骨すぎた。巨大なボディラインのわかるスーツを着た美女のスカートをしたから撮るとかタイトスカートなのにすごい脚上げさせて美脚を楽しむとか。申し訳ないけど令和の時代にこれをやられると「時代錯誤〜」「きも〜い」という気持ちが抑えられない。わかるよ!まさみさまみたいに綺麗な人がやってくれるんだったら妄想を叶えたいよね?でもアダルト系のコンテンツとか深夜番組じゃないんだし、子供も実るウルトラマンでこれやられるとだいぶ…。他のところができてればまだよかったのかもしれないけど、脚本のくそ端折りがある中でやられるとどうも良いとは言えないなぁ。

あとメフィラスの「私の好きな言葉です」「私の苦手な言葉です」が多すぎてちょっとくどかったかな。もう少し少なくてもちゃんと面白いよ。

ファンタジー映画感想161 ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

【映画パンフレット】ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 監督 デイビット・イェーツ 出演 エディ・レッドメイン、ジュード・ロウ、マッツ・ミケルセン

公開から1週間、ようやく見てきました。

監督はデヴィッド・イェーツ、脚本はJ・K・ローリングとスティーブ・クローブス。

 

あらすじ

グリンデルバルドは国際魔法連盟のトップになるべく麒麟を探していた。ニュートは生まれたばかりの麒麟を保護しようとするもグリンデルバルドに奪われる。しかし実は麒麟は双子で一頭は保護することができた。グリンデルバルドとダンブルドアはかつて恋人だった時にお互いを攻撃することができない血の誓いを立てた。そのためグリンデルバルドは死期が迫るクリーデンスにダンブルドアを殺させようと嘘を吹き込む。ニュートはグリンデルバルドの作戦を妨害するために助手のバンティ、イギリスの闇払いである実兄のテセウス、リタ・レストレンジの異父兄であるフランス人のユスフ、ホグワーツの教師ユーラリー、そしてマグルのパン屋ジェイコブとチームを結成する。未来が読めるグリンデルバルドに対抗するため誰も全貌を知らない作戦が展開される。

 

感想

え〜とそうですね〜、前作よりは面白いです。それはそうだと思う。そしてジュード・ロウマッツ・ミケルセン、そしてエズラ・ミラーがはちゃめちゃに美しくて、もう美しい俳優を見るという意味で楽しい映画だった。マッツが麒麟の赤ちゃん(これがべらぼうに可愛い。デザインはちょっと、「え?これが麒麟?鹿じゃん!しかもお母さん麒麟ジュラシックパークだし!」って感じではあるんですが)を殺すところとか美しすぎるしエロスだしで官能〜って感じでよかったです。最高。マッツが風呂の中で死んだ麒麟の赤ちゃんを生き返らせる、どう考えても禁術だろって魔法を使うのも非常にエロかった、失礼、耽美だった。マッツに着衣で風呂に入らせるな、すけべすぎる。死にかけたクリーデンス・エズラ・ミラーは美だし、ジェイコブはいいやつだし。ニュートが牢獄で蠍に擬態するのもテセウスが真似する羽目になるのもめちゃくちゃ面白かったです。

でもやっぱりあんまりいい映画ではないですね。まず全部セリフで説明されないとわからない展開が多いんですよ。そしてグリンデルバルド割と頭悪い?この作戦うまくいかねーだろって選択が多い。悪役がバカだと盛り上がらないんだよな。

そしてダンブルドアを神格化しすぎちゃってそれも良くないですね。無駄に登場人物も多すぎるし。

一応シリーズ最後まで見守るつもりですが、ほんと大したことない作品です。でも金はかかっているので豪華な映画が見たい場合は見ると良いと思います。

「アオラレ」

アオラレ(字幕版)

2020年の映画ですね。スリラー映画。

監督はデリック・ボルテ。

タイトルからわかる通りの煽り運転のスリラーです。

あらすじ

レイチェルは息子カイルと弟フレッド、フレッドの彼女のメアリーと4人で暮らしています。ある日カイルを学校へ送っていく途中青信号になっても前の車が発車しないのでレイチェルは乱暴にクラクションを鳴らし、それでも発進しないので抜いていきます。ところがそれをきっかけに前の車の運転手トムに付き纏われることになるのです。危険な運転はだんだんエスカレートしレイチェルは身の危険を感じるようになります。

 

感想

怖いんですよね〜これ。ありそうな範囲のことするんですよ、レイチェル。レイチェルは最近色々なことがうまくいかなくて苛立っていて、そこへラッセル・クロウ演じる煽り運転の運転手に「君は礼儀が鳴っていない。クラクションの鳴らし方がおかしい。謝れ」と言われて、謝ればいいんですけど、レイチェルもひどくイライラしていたので謝らなかったんです。そういうことってあるじゃないですか。自分でも自分が悪いのはわかっているし謝った方が絶対いいんだけど、それができないってこと。大概は相手もまともな範疇の人なのでここまで恐ろしいことにはならないんですけど、稀に相手が普通の範囲ではなくなっていて、それで恐ろしいことになるんですよね。

息子を学校に送ったレイチェルをトムは付け狙います。ピッタリ後ろにつけ、無理に追い越して割り込み、一方通行の道路を逆走する羽目に追い込んだりする。そしてガソリンスタンドまでつけてくるのです。怯えたレイチェルは店の中にいた人に事情を説明し、警察を呼ぼうかと提案されますが断ります。ここで呼んどきゃ良かったのにな〜。そしていかにもアメリカらしい親切で見ず知らずの若者が車までレイチェルを送り、その若者をトムは車で撥ねます。またガソリンスタンドで買いものをしている最中にスマホを盗んでそれを使ってレイチェルの離婚弁護士と連絡を取って彼を殺したり、レイチェルの家族の情報を集めたりするのです。

実現可能な範囲のことするんですよね〜。この映画の恐怖描写。それが怖い。

また最後にレイチェルがトムに謝るのかと思いや謝らないのもいい。