ファンタジー映画感想105 ハムナプトラ 失われた砂漠の都
1999年アメリカ。金曜ロードショーの常連というイメージ。THEエンタメ映画。よく知らなかったのだけれど1932年の「ミイラ再生」という映画のリメイクらしい。「ホムダイの呪い」については検索してもこの映画しか出てこない。創作なのか??
あらすじ
考古学者のエブリンは兄と腕のいい兵士のオコーネルと共に死者の都ハムナプトラへ向かう。そこで3人は3000年前王を殺して刑死した神官イムホテップを生き返らせてしまう。イムホテップは現代の人々の生気を奪いながら復活し、死者を蘇らせようとする。エブリンらはそれを止めようとする。
感想
とにかくテンポがいい。物語がどんどん転がっていく。モブはリズミカルに死んでいくし。すごくカジュアルにポップに人が死ぬんですよ。エンターテインメント的死。今見ると女性の扱いにうーん…というところもあるがそこに目を瞑れば面白い。基本コミカル。最近の全く前に転がらない映画の脚本書いてる人は参考にしてほしい。イムホテップが愛のために行動してるのもいい。悪いやつなんですけど、イムホテップ、でも彼の愛は本物なんだろうな〜と大人になってみると思いますね。
ファンタジー映画感想104 ピーター・パン
2003年。ピーター・パン映画って何個あるんですか?これがたぶん最も出来が悪い。綿菓子的色調が安っぽく見える。監督はP・J・ホーガン。誰?と思ったらお買い物中毒な私の人だった。ピーター役のジェレミー・サンプターがイケメン。ショタコン映画みがある。
ファンタジー映画感想103 ナイトミュージアム エジプト王の秘密
2014年。ナイトミュージアムシリーズ第3弾でラスト。ロビン・ウィリアムズがなくなったので終わりにするしかなかったんだけど続けられたよね。でもだらだらと未練がましく続ける前に終わりにして潔かった。ヒュー・ジャックマンは完全に余計。
あらすじ
石板の魔法の力が失われつつあり、その謎を解く為エジプト王アクメンラーの両親に会おうと大英帝国博物館へ。月光に照らせば力を取り戻すと判明するがランスロットが石板を奪う。取り戻すがラリーは両親との再開を喜ぶアクメンラーをみて石板とアクメンラーをイギリスへ残そうと決意する。
感想
シリーズ最終作として良かったと思う。何しろテーマが「別れ」だった。ロンドンにアクメンラーを残すことでアメリカの仲間たちは夜ごと甦ることができなくなるがそれでもアクメンラーを家族のもとに残すのはよかった。猿のデクスターがラリーにキスするところなど涙が出そうに。相当デクスターには困らせられましたから。潔く終わって結果綺麗に終われたシリーズだと思います。終わりは潔いのが美しい。
ファンタジー映画感想102 ナイトミュージアム2
2008年アメリカ。大概のなんちゃらかんちゃら2映画の例に漏れずこれも一作目に及ばない作品。 舞台をスミソニアンにしてパワーアップ!と見せかけて実際にはむしろスカスカになるというよくある第二弾。でも毒にはならないので子どもに見せても問題ない。
あらすじ
前作から2年。夜景をやめて会社社長になったラリーが古巣の博物館を訪ねると前作で仲良くなった展示品をスミソニアンに送るという。一旦は送られるが、最初の夜にジェデダイアから助けを求める電話が。石板の力でスミソニアン中が命を持ち大混乱だという。ラリーは事態の収拾に向かう。
感想
エイミー・アダムス(今作のヒロイン、女性パイロットでスミソニアンの所蔵品)は好きな女優なのだけれど余計な役だったかなーと思う。アル・カポネ、イワン雷帝、ナポレオン等が悪役として石板の奪還を邪魔してきて笑えるし悪くもないのだが、尺稼ぎの無駄なシーンも多かった。もっと脚本を練ればなーと思ってしまった。
ファンタジー映画感想101 ナイトミュージアム
流行ってた時から気になってはいたのだけれど「ドタバタでつまらないだろう」と見ていなかったのを見たら面白かったパターン。子供を甘く見てただドタバタするだけの映画嫌いなんですよね。子供の映画や本を作る人で子供を侮っている人本当嫌いです。自分が子供だった頃思い出してもいいものと悪いものちゃんと見分けられただろ。子供に媚びてるだけの大人軽蔑しただろ。
2006年アメリカ映画。よかったのは構成。なかなか主人公にとって物語が都合よく展開しないところもよく、最後にきちんと解決するのも納得がいく。
あらすじ
ラリーは何をやっても続かない男。仕事は続かないし結婚もうまくいかず、別れた妻が息子を引き取っている。ラリーは博物館の夜警の仕事につく。その博物館では夜になると魔法の石板の力で展示品たちが命を持って動き出す。個性豊かな展示品たちに困るも奮闘するラリー。いいところを見せようと息子を招待するも石板が盗まれた為に動かない。ラリーは石板を取り戻そうとする。
感想
大きな話ではないんだけれどよくまとまっていたように思う。ひどい悪役もいないし、似ているのはパディントンかな。まとまっていてにぎやかで誰に見せても大丈夫。主演のベン・スティラーは良い役者だと思いましたね。あんまり見たことない役者だったんですけど「LIFE!」の人ですね。あとマダガスカルで声当ててた。
映画のラストでかかる曲がよくて買ってしまった。嫌味なく学ぶことは力を得ること、と伝える映画。
ファンタジー映画感想100 ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
2003年。LOTR3作目、完結編。オタクの贔屓目抜きでファンタジー映画の傑作。アカデミー賞史上最多11部門受賞(作品賞、監督賞、脚色賞、作曲賞、歌曲賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、視覚効果賞、音響賞、編集賞)。全てが一つになる壮大なラストです。3年間毎年楽しみに見ていた壮大な冒険の完結ですからね。しかも一作ごとにその物語が完結する方式ではなくて本当に3本で一つの物語。後出しのネタもないんですよ。ファンタジーを読む、ファンタジーを好き、となったらこれは外せない作品なので是非万人に履修してほしい…。ただのオタクの叫びですみません。でもこれは本当に外せないので…。
あらすじ
サウロンが力を増す中、アラゴルンはゴンドールへ帰るが、執政は王の帰還を歓迎せずモルドールと戦う準備もしない。メリーはローハンの、ピピンはゴンドールの騎士となりそれぞれ指輪戦争へ兵士として赴く。ゴラムの策にハマりフロドはサムを追放、滅びの山へ向かうがその先には怪物が待つ。
感想
まずこの作品の何がアカデミー賞作品賞、脚色賞取れたかっていうと、出だしが良いんですよね〜!これは原作通りではなくてオリジナルなんです。原作ではガンダルフが恐らくベースで語るだけの話をゴラムの回想として、しかも最後の作品の冒頭に入れたんですよ。指輪に蝕まれる前のゴラムと友人が指輪を見つけるところから始まる。ここで戦士でもなんでもない、ホビットの友人同士の生々しい素手の殺し合いが起こるわけです。これは燃える目が出てきたり大軍勢が村々を蹂躙するよりもある種指輪の恐ろしさを描く良いシーンだと思いますね。普通の、仲の良い友達同士でさえこんなふうになってしまう。だって指輪を拾うまで、スメアゴル(ゴラムの昔の、普通のホビットとして生きていた時の名前です)もデアゴルも本当に楽しそうに遊んでいたんですよ。そして同時にこのシーンはゴラムの複雑なキャラクターを理解する上でも重要なシーンです。彼って悪役なんですけど全き悪ではないんですね。優しくされたり親切にされたりすると嬉しくて、フロドに尽くそうとしたりもするし、一方で指輪のためなら決して特別賢いわけでもない彼の知恵を絞ってなんとかしようとする。さらに友達を殺させ、自分をこんなふうにした指輪を憎んでもいる。ゴラムは裏主人公です。フロドのifでもある。フロドが指輪に完全に魅入られてしまったらどうなるか、という。
この旅ってみんなが変わってしまった旅なんですよ。ボロミアは自分の醜さに直面し、最後は自分を取り戻してメリーとピピンを守って、でも死んでしまった。ガンダルフは火と死をくぐり抜けた。レゴラスは一番変わらなかった口ですが、それでも彼の森を見つけましたしドワーフと友情を築きました。ギムリはレゴラスと仲良くなったのもそうですが、ガラドリエルの奥方との出会いは彼にとって人生を変えるものだったでしょう。アラゴルンは自分の国に帰って生まれついての者となり、そしてアルウェンと結ばれた。フロドはあまりにも大きな使命を果たしたからなんだかもう天使みたいになってしまった。彼はアマンに行くしかなかったですね。とどまるような人では無くなってしまった。サムは勇者になりました。私としてはメリーとピピンの変化が一番胸にきました。あんなにお気楽なホビットの若者二人組でいつもふざけていて、コミックリリーフそのものだったのにその彼らがそのままではいられなくなる。彼らは彼らの大切なもの、友人や故郷を守るために小さな体で指輪戦争に臨んでいくんです。物語の初めの頃の彼らならとてもしなかったような決断もできるようになった。だってメリーなんて最初は1日のご飯の回数のことでごちゃごちゃ言ってアラゴルンを呆れさせていたのに、アングマールの魔王を倒したんですよ。
エンディングももサムの帰宅で終わるところが素晴らしい。行きて帰りし物語の帰った瞬間の感動。変わってしまったものは戻らないけれどそれでも意味があるんですよね。これは原作通りのエンディングなんですが、私原作読んだときにこのエンディングには胸がいっぱいになって数時間何も考えられないくらい感動したので、その名エンディングをそのまま使ってくれて本当嬉しかったです。
ファンタジー映画感想99 ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
2002年。LOTR3部作の2作目。ちなみに勘違いしている人がいたらアレだと思うので申し上げますとロードって王の方です、道じゃない。指輪の王、つまりサウロンのことです。2作目ですが前作のあらすじとか全然ない作りなの好ましい。鬱陶しいですもんね、あらすじやられると。
今作から物語は3パーティー同時並行形式になります。旅の仲間9人って多くない?と一作目で思った方もいらしたでしょうがまぁそういうわけだったのです。ガンダルフとボロミア死んじゃって7人ですけどね。7人もいるのは2:2:3にパーティーが分かれるためだったわけです。2はフロドとサムのモルドールへ指輪を捨てに行こう組、次の2がメリーとピピンのオークに攫われてアイゼンガルドのサルマンのところへ誘拐される組、最後の3がアラゴルン、レゴラス、ギムリのメリピピを助けようと全力疾走組です。
あらすじ
アラゴルン、レゴラス、ギムリは攫われたメリーとピピンを追い、病んだ王が治める騎士の国ローハンへ。メリピピはオークの手から逃れようと画策。フロドとサムは指輪を捨てる為モルドールへ向かうが道に迷う。彼らは指輪を狙ってつけてきたゴラムを捕まえ、モルドールの道案内をさせる。
感想
ローハンは騎士の国で馬を大切にしていて、3作目に出てくるゴンドールとはまるで違う文化や美術様式の国なので細部をご覧ください。盾持つ乙女エオウィンも登場。エオウィンは胸熱キャラクターなのでワクワクしますね。お洋服の変化もぜひ見てほしい。最初セオデンに息子の死を知らせる時の重そうな暗い色の服。身動きが取れない彼女の状況を表してる感じですね。近付き難い印象の髪を下ろした白いドレス、葬儀の際の髪をアップにした黒いドレス、そして簡素で動きやすいブルート茶に近いグリーンのドレス。どんどんエオウィンが活動的になっていくのが服からもわかります。
ハリウッドの印象に残る悪役ベスト10にランクインしたゴラムもここからがっつり出てくる。モーションキャプチャーの名キャラクターです。ゴラムは非常に心に残るキャラクターですよね。悪でありながら、という話は3作目にしましょう。彼の悪というのは弱さの悪なんですよ。そして揺れ動いてもいる。ホビットだった頃の気持ちが残っていて、でもそれはずっと指輪と地下で暮らしていたために奥の奥に沈んでいた。それがフロドと出会って触れ合ったことで蘇ってくるわけです。
ファラミアも出てきます。ボロミアの弟でいいやつ。彼も本領発揮は3作目ですね。セオデンとはまた違った意味でどうかしらという為政者が出てくるのでね。思えばホビットでもLOTRでも良い王ってなかなかいませんね。エルロンドとガラドリエル、ケレボルンくらいですか?あとはみんなどうかしてるもんなぁ。良き王は少ないという点、現実と似ています。