持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想152 ムーラン

ムーラン (2020) (字幕版)

2020年のディズニー実写映画。この映画は政治的にかなり色々あったので「絶対見ねえ」と誓っていたんですが、ディズニープラスで無料で見れたので今回見たんですよ。いや〜、課金しないで良かった!という出来でした。政治的にどうこうとかいう以前の問題でした。

 

あらすじ

昔々の中国。他民族から攻め込まれ砦を落とされた皇帝は各家から男子一人を兵士として召集する。ファ家の男は老いた父だけだが足が悪い。お転婆な娘ムーランが男装し、父の代わりに軍隊に入る。侵略する軍には国を追われた魔女がおり、魔女はムーランに親近感を覚え仲間になれと誘う。

 

感想

なんかですね〜、もう色々悪いところがあってどこから言っていいのか、という感じなんですよ。ディズニーの実写作品なんでお金かかってます。だからCGとか音楽とかそういうところには文句ないんです。衣装もいいと思う。演技が極端に下手な人もいません。でもダメなんですよ。何がダメかと言いますと、

1)魔女、何?

2)徳言いすぎじゃね?

3)気って何?出した意味あった?

4)ムーランの作戦、色々雑じゃね?

5)アクションがバーフバリの劣化版

って感じなんです。一言言えば「脚本家、途中で二人くらい死んで最後寝不足で完成させた?」って感じです。 まず「魔女、何?」です。

魔女のシェンニャンは実写版オリジナルキャラですね。特別な力があるが故に追放され、居場所がないと感じている。ボーリー・カーンっていうのが実写版のシャン・ユーにあたる悪役なんですけど、こいつにこき使われていて、カーンのことは全然好きじゃないです。男装して軍隊におり、「気」という謎の力を使うムーランに親近感を抱きます。で、時々リクルートする。ムーラン全然靡きません。でもなんか魔女は一方的にムーランを好きになって、まさかのムーランを守って死ぬんですよ。マジで何?どうしたの?死ぬほどムーランとの間に絆深まるシーンあった?自殺?死にたいけどきっかけないしここで死ぬか的な感じで死んだのか?出した意味が全くわかりませんでした。魔女を出した脚本家、死んだんでしょうね。

二つ目の「徳言いすぎじゃね?」問題はアニメ版から多少はあったんですけど、アニメはミュージカルあったりギャグシーンもあったのでそこまで鼻につかなかったんですが、実写版はミュージカルなし、ギャグもなしなのでやばいんですよ、徳の押し付けが。西洋人のペラいアジアってこうでしょ?の押し付け。まぁいいですけども。

三つ目が謎の「気」。突然ムーラン世界に、ONE PIECEでいうところの覇気みたいな、HUNTER×HUNTERでいうところ念みたいな概念持ち出されてひっくり返りそうになった。え〜、これからバトル漫画見せられんの?で、これ時々出てくるんですけど、結局これ持ってるから何?って感じのまま終わるんですよ。出した意味!!おそらくこの「気」の概念をもこんだ脚本家も死んだんでしょう。そして後を継いだ脚本家は引き継ぎなくてわかんなくてそのまま書いちゃったんだろうな。合掌。

四つ目のムーランの作戦雑問題。中盤のシーンですけどなぜか単独で深追いするんですよね。訓練中の兵士が「気」を使えるからって深追いするな。魔女が感情移入してくれたから殺されなかったけれども普通殺されるから。あとアニメにもありましたがやっぱり雪崩のシーンはよろしくないですね。敵も倒せたけど味方の被害が甚大すぎる。あと魔女から依枯贔屓で皇帝が狙われてるよって教えてもらうんですけど詳細聞いてないのに、なぜか「少数精鋭でいけば勝てます」とかいうんですよね。なぜ。なぜこの時点で少数精鋭でいけばとか自信満々に言えるんだよ。わかんね〜!理解を超える女、ムーラン。

5つ目の「バーフバリ劣化版」は、もうボーリー・カーンらが砦に攻め込むシーンからそうなんですけど、バーフバリは「こんなのありえない」を軽々と超えて「兎に角凄い!」「意味がわからないけどやばい」「あまりにもアレなので面白い」までになってるからみんな批判しないんですけどムーランは「こんなのありえない」止まりなんですよね。ユーモアがないから笑えるところにも行かない。ありえないがすごすぎてかっこいいまでも行かない。実写のアラジンも凄いアクションがありましたが、あれはガイ・リッチー得意のカメラの角度やスピードの変化でカッコよく見せてました。ムーランはそれがないからなんか「ありえないワイヤーアクションやってんな」で終わってしまうんですよね。

この映画の話をすると、どうしても主演女優の云々、撮影地の云々の話になりますけど仮にそれらが全てなかったとしても決していい評価はもらえない映画だと思います。見る意味ほぼないです。