持丸のファンタジー映画感想

基本ネタバレなしのあらすじと感想で構成されています。ファンタジー映画である限りどんなC級であろうと見なければならない呪いにかかっています。記事の頭に画像があるのはリンクで飛べます。

ファンタジー映画感想4 ジャックと天空の巨人

ジャックと天空の巨人 (字幕版)

2013年。「ジャックと豆の木」と、「巨人退治のジャック」が合わさった話。割と最近の映画なのでCGが美しい。エルモント役(騎士団長ですね)のユアン・マクレガーが良かった。豆を使った戦い方もよかったです。これぞファンタジー映画の醍醐味!巨人の台所のシーンに既視感があり、どこで見たのかと思ったらシンガポールのユニバだった。シンガポールのユニバーサルスタジオにこの映画のアトラクションというわけではないんですが似たようなものがあります。

 

あらすじ

 

小作人のジャックは馬を売りに行くが修道士に持ちかけられ魔法の豆と馬を交換してしまう。その夜家に昼間助けた王女イザベルが雨宿りにやってきて二人はいい感じになるが、雨を吸って豆が巨大に成長し、イザベルも天空の巨人の国へ。ジャックは兵士とともに王女を助けに巨人の国へ向かう。

 

感想

お話は大きく分けて二部に分かれ、前半が巨人の国ガンチュアでの王女救出作戦。後半が巨人が地上に攻めてくる話。B級かなーと思いながら見たが、そんなことは全くなかった。衣装も美術もCGもお金かかっていてクオリティ高いし役者も上手いしどこも文句なし!大好きな戦争シーンも人間側が圧倒的に大きい巨人たちと頭を使った戦い方をしていて「そう来たか!」と満足が行きます。実際の歴史にはない、ファンタジーならではの戦争シーンはファンタジー映画の魅力の一つですよ。

ネタバレにもならない話なので書いてしまいますけど、これ、「ジャックと豆の木」と「巨人退治のジャック」の合わさった話なので豆の木がキーアイテムとして出てきます。これをいかに使うか、が見せ所になってくる。まず物語の初めの方で修道士が命懸けで豆を盗みます、これがひょんなことからジャックに預けられる。豆は水に濡らすな、と忠告を受けますが、この手の禁止は破られるのが常です。ジャックは性格のいい子なのでわざとではないんですが、おじさんに叱られて豆を払い除けられた時に落ちて発芽、お姫様のイザベルを巻き込んでガンチュアまで伸びてしまう。その後、巨人が空から落ちてきたことから国王は娘が戻ってきていないながらも豆の木を切り倒すことを命じます。巨人が何人も降りてきたら大変ですから当然の判断です。しかし豆を巨人側は複数持っていてこれで降りてくるわけです。でも一個だけジャックが持ってるんですね。この切り札の豆をいつ、どう使うか、これがキーになります。

キャラクターも良くて、巨人も個性的で思惑があって賢く、お姫様も魅力的で、主人公はファンタジーにありがちな普通の若者なのですが傲慢すぎることがなくて好感が持てます。ファンタジー映画の主人公ってしばしば傲慢すぎるんですけどこの映画のジャックはそんなことないですね〜。

あとこの話、最大の悪役がしばしば交代します。つまり悪役は常に存在するんですけど、途中で殺されるんですよ。これはなかなか新しい。ずっと最大の敵がいて、物語のクライマックスまで頑張るのがファンタジー映画の常道ですが、この話はそうはしなかったんですね。これで悪役が弱そうに見える、となるかは判断の分かれるところですけれど。第一の悪役はロデリック卿。豆と巨人を操るエリック王の王冠を持っています。この彼が退場した後は巨人の頭、双頭の巨人のファロン、そして彼の後はファム。悪役というのは欲深くて人を蹴落とそうとしがちなのでこうやって悪役同士で潰しあうのはよくあることですね。まぁこの場合は必ずしもそうでもないんですけども。

美術も良かったです。ガンチュアの、ガンチュアって天空の国なんですけどこの空に浮かぶ島の周辺に巨人の頭の岩の造形とか最高です。巨人のお城?家?の台所の様子なんかは昔話の通りです。玉座が骨で作ってある素朴なやつなのも良かった。あとあれですね、下の人間の国の美術もすごくいいんですよ。これも必見。

とにかくファンタジー映画は、特にハイファンタジーの映画は美術と衣装が大事!ここがお粗末だと世界観に入り込めない!その点子の映画は文句なしです。

満足度は高すぎたので後にブルーレイ買いました。定期的に見返したくなるし人にも見せたくなりますね。